1071A  ATX電源(ファンレス、静音、高効率)

市販のATX電源はスイッチング電源としては効率が低く(安物だからというわけではなく、一般に(値段の高いものを含めて効率が低いようです)、効率の低さゆえの発熱と冷却の呪縛から逃れることが困難です。前作ファンレス電源では既存のATX電源を自然空冷として静音化をはかりましたが、効率が悪いので結構な発熱があり、東京電力のデンコちゃんに怒られそうです。


  1. 原理
  2. 回路
  3. 製作
  4. ソフトウェアの構成
  5. 使用方法

原理

を組み合わせて箱に放り込みます。なお入手するスイッチング電源の容量を決定するため実機の消費電流を測定しました。Athlon2500+マシンです。

部位 用途 実測消費電流 決定電流定格 使用電源
+3.3V CPU、PCIなど 7.5A 10A デンセイラムダ VS-50B
+5V ドライブ類
CPU,PCIなど
10A+2A 15A デンセイラムダ VS-75B
+12V ドライブ類 1A+2A 6.3A デンセイラムダ VS-75B
-5V なし? 0? 省略 -
-12V なし? 0? 数100mA TL497によるチョッパDCDC
+5VSB 電源管理関係? 0.3A 0.75A 携帯電話用ACアダプタ

通常のATX電源はそれぞれ20A〜30Aとかなりな電流容量を持ちますがそれにあわせてしまうと価格も高く、大きさも大きくなってしまいます。また一般にスイッチング電源の効率は定格付近でもっとも高くなりますので、実使用領域での効率も悪くなってしまいます。また、入手先の千石電商で扱いのあるのはデンセイラムダとイーター電機の二社ですが、イータのものは定格電流の110%程度で保護がかかるのですが、デンセイラムダのものは短時間なら125%程度までの使用を認めているので一時的な容量オーバには耐えられることになることからデンセイラムダのものを選択しました。なお安全性を最重要視するなら(本来安全性を重視しなくてはいけませんが)イータのものを選択する方が安心かもしれません。(デンセイラムダのものが安全でないという意味ではなく、一時的な容量オーバが本当に一時的なものなのかどうかはわからないからです。回路を自分で設計したり、仕様が明確な場合はそれがわかるのですが。)

また、+5VSBはATXの規格上750mA以上が必要ですが、携帯のACアダプタは730mAのものを使用しました。実測では0.3Aなので問題ないです。

なお、この測定をするにはDCを測定できるクランプメータが必要です。クランプメータがない場合はシャント抵抗を挿入して測定する方法がありますが、シャント抵抗の抵抗値を10mΩくらいにしないと10Aも流れるのでシャント抵抗による電圧降下がしゃれになりません。0.1Ωのシャント抵抗でも1V電圧降下を生じるのでPCがまともに動作しなくなってしまいます。しかも発熱も10Wになるのでアウトです。10mΩでさえ、0.1V電圧降下を生じ、1Wの発熱となるので結構なものです。しかしDCを測定できるクランプメータは結構高価なので敷居が高いと思われます。今回使用したのは日置のクランプメータでこんなやつです。

アナログのクランプメータってめずらしいですが、メータ部にはセンサ出力端子があってオシロにつなげるというおまけがついているのがなんともおいしいクランプメータなのです。


回路

最低限必要な機能は次の通りです。

また、PowerMac G4Cubeとの併用となるので本機では以下の機能を追加しています。またあったら便利な機能もついでに追加してあります。

本体制御回路は簡単にはATX電源ケーブルに含まれる“PS-ON”信号がLowのときにトライアックがオンするようにしました。ただ電源オン時の誤動作を防止するためにパワーオンリセット回路で電源オン後の1秒程度動作を抑圧してあります。

+5VSBは携帯電話用のACアダプタの出力電圧を調整可能なように改造して使用しました。

回路図はこちら

なお、通常のATX電源の置き換えとするだけならシーケンサは不要ですし(CPU不要)、SSRも1回路でOKとなります。本機ではPS_OK信号はCPUから出力していますが、AC/DCの+5VにつないでしまえばOKですのでだいぶシンプルになります。

全体の布線図はこちら


製作
使用部品類
主役となるAC/DC
これは75W出力のタイプで、今回は+5V,+12Vで使用

+5Vだと15A出力となるのですが、出力コネクタが3ピンしかありません。1ピン5Aも流して大丈夫?

同じくAC/DC
50W出力タイプで+3.3Vで使用
ただし+3.3Vの場合33Wしか出力できません。電流の大きさでどこかが最大定格に引っかかっているんでしょう

やはり出力は2ピンしかなく1ピン5A流すことに。

AC入力部のフィルタ
トーキン製にもかかわらず280円とお買い得でした
なくても動作しますが、前回の電源サイレント化のときに、市販の電源についていたのでなんとなく採用
+5VSB用のACアダプタの改造
ACアダプタをこじあけて出力電圧を設定している抵抗分割の比を変えられるように半固定抵抗に変更しました。

チップ抵抗をはずして交換なのでちょっとテクニックがいりますが、そこは昔取った杵柄、なんとか交換できました。

なおハンダ面のチップ部品は大抵は接着剤で固定してありますので要注意です。反面部品面のチップ部品はハンダさえ溶かしてあげれば簡単にはずせます

半固定抵抗のところをケースを切り欠いて再度ふたができるようにします

この段階で+5Vを出力するように調整しておきます

制御回路や-12VDC/DC
75x50の基板を半分にしたものに高密度実装しました。ケース内のレイアウトが意外とタイトだったのでこのようになってしまいました。
ACリレー
SSR(Solid State Relay)を用いたリレー回路を約50x35mmの小さな基板にレイアウトしました。サービスコンセント用のヒューズはこの基板に搭載しました。

こちらはゆとりあるレイアウトで作るのもらくちんでした

自照式スイッチ部
自照式スイッチですので当然ランプが必要です。今回はLEDを使用

色は電球色、緑、青の3色を使用。電流制限抵抗も実装します。LEDはいずれも超高輝度のタイプのもので3000mCd程度以上の輝度を有します。直視すると目を悪くするかと思うくらい明るいです。反面指向性が強いようです。

したがってメイン基板との接続は4wireです。

厚紙で四角い筒を作り、その中に上の基板を仕込みます。筒の中はアルミテープで光が反射するようにしておき、スイッチ全体に光がうまく廻るようにします。

前後をオパール(乳白色)のアクリルでサンドイッチして、そこに透明のスイッチ用アクリルをはりつければ完成

ケース
300x170x40といういわゆる弁当箱ケース(真空管アンプ用だと思われます)を使いました。
とりあえず穴空けしました
ケース底のバカ穴はAC/DCの放熱器の直下にあたります。対流促進のためにあけておきました。
ナットはケース内側で接着剤で固定してしまいます
パンチングメタルでふたをしてできあがりです。
放熱の必要があるので上にものを載せるのは厳禁です

コネクタ接続に使用した電線はオヤイデで売っているシリコンゴム被覆のものです。非常に被覆がやわらかく線の取り回しがやりやすいし、熱に非常に強いのでお気に入りです。ビニール電線より高いのが難点ですが。

フロント(?)パネル
面積不足でかなりごちゃごちゃです。サービスコンセントを1つにすればすっきりするのですが、やはり2つほしかった
ケースを買うときは十分な大きさだと思っていたのですが、見積もり違いでした。もう一回り大きい方がいいみたいです
動作のようす(スイッチ)
オフ時 (電球色)

白色LEDはあまりにも白すぎる(ちょっと青みがかっているくらい)のですが電球色は味があります

ATXパワーオン時(緑)

やっぱり電源オン時の点灯色は緑でしょう。

通信機(交換機など)の世界では
緑=正常
黄色=警告
赤=異常(アラーム)
ときめられています

ATXパワーオフ時かつ連動コンセント強制オン

連動コンセントのみのオン(つまり連動じゃない)時に何色にするか迷ったんですが、青にしてしまいました。黄色にしようかとも思ったのですが、オフ時の電球色とちょっと近い色かなとも思って。

ATXパワーオンかつ連動コンセント強制オン

青←→青と緑同時点灯のフラッシング

青と緑で水色になるようです


ソフトウェアの構成

シーケンスは1330Cをちょっといじっているだけです。

image

遷移図中各状態の近傍に書いてあるStateOnByxxxというのはファームでの各ステートの呼び名です。

ファームはこちら


使用方法

PC-AT機の電源を投入すると本機が起動します。2秒程度の保護時間のあとサービスコンセントがオンとなります。

また、PC-AT機の電源をオフとすると本機は停止します。10秒程度の保護時間のあとサービスコンセントがオフとなります。

また、おおむねどの状態からでもスイッチを1秒程度押下し続けることで強制的にサービスコンセントのみをオンとすることができます。すでにサービスコンセントがオンの場合はPC-AT機と非連動にオンの状態となります。

変換効率は測定していませんが、パンチングメタルのところに手をかざしてもほんのりあったかい程度なので、かなりよいようです。


(2005.1.24)